渇き

誰かの、あるいは、何かの代わりではなく 気を紛らわせるための相手でもなく ただただ、私を必要とされたい。 私が好きな私を愛せ。

禁じ手

禁じ手を使った。 この手だけは使うまいと思っていた。 結果、一時的に功を奏しはしたが、 不本意な手段を使う罪悪感は残った。 どんな思いでこれまで働いてきたと思うのか。 それが勤めと言い聞かせてきたと思うのか。 不本意は巡る。 己で断ち切るしかなく…

母が鬼なら 私は鬼の子 鬼の子は鬼の子なりに鬼 人の気持ちに 揺さぶりをかけ ふるい分け 何が残るか 何が落とされるか 知りたいだけ 鬼の鬼たるやを横目に 鬼の子は鬼の子たるやを 見せつける 母よ あなたの子は 毅然と鬼となり あなたにまで 揺さぶりをか…

女なら如何なる時も肝を据えなさいと事あるごとに母から言われてきた。 決断が鈍る時、答えを出すのを先延ばしにしたい時、宙ぶらりんのちゃらんぽらんでいたい時は確かにある。 それでも来たるべき時が来れば、己の眼をグワシと開き、人の声に耳を傾けて、…

不透明人間

透明人間について、話がしたい。 透明人間について考えられる時は心穏やかな時だ。 人々は、透明人間のことをもっと想像すべきだと思う。 こんなに膨らむ想像はそうはない。 ラーメンズのコントの中でも特に秀逸な『TEXT』に出てくるやりとりが印象深い。 透…

パンツをはいて

人は誰かによく思われたい、好かれたい、愛されたいと心に服を着せる。 ある人は着飾ることがとても得意だったり、ある人はとても薄着、またある人はとても厚着だったりもする。 時にその服は鎧となり、時にその服は武器にもなる。 私は、その服を脱がすのが…

おとなしい

私が美術館好きだと知ると、芸術を語りたいおじさんが集まってくる。 そして、長い長い、さして面白くもない、過去の栄光やら何やらが入り混じった焦点の合わない話を聞く羽目になる。 そういう時は心を放ち、慈悲の笑みをうっすらと浮かべながら、時が過ぎ…

気味が悪いほどに、嗅覚をフル稼働させて、何を得ようとしているのか。 何もかもを嗅ぎ付ける頭の悪い野良犬のように。 得るものなんて、もう面白さ以外何も残されてはいないのに。 知られたくないことには鍵をかけて。 それが身のため。 これは警告。

嗅覚

今夏、私の嗅覚は人生最大に研ぎ澄まされていた。 そして、研ぎ澄まされただけでなく、狂ったように稼働していた。 知りたいことも、知らないほうが幸せなことも、知った。 知ったというと、受動的にきこえるがそうではない。 厳密にいうと、知りに行った。…

発熱

たかだか、2・3度体温が上昇したくらいのことで、私は考えられなくなる。 なんて、やわなんだろう。 それはとても怖いことだ。 考えないということは、活きていないということだ。 考えているから私は生きている。 考えているから私は活きている。 私は生…

マグロ

マグロという魚は泳ぎ続けないと死ぬらしいでしょ。 ベッド上で、マグロという表現は止まったままという意でしょ。 生きてると死んでるは大違いでしょ。 でしょでしょ。

縮図

歯科医院で患者としての立ち居振る舞いを考えることはあらゆることの縮図だなと思う。 予約の取り方然り。 キャンセルの仕方然り。 待合室での待ち方然り、座り位置然り。 具合の伝え方然り。 セカンドオピニオン然り。 歯の高さとか合わせちゃうこと然り。 …

車窓

大学に通っていた頃、私は電車通学をしていた。 ある日、夕暮れがとても美しく、車窓から西の空をうっとりと眺めていた。 「ああ、世界の終わりのような夕暮れだなあ」 思った矢先、四人席に座っていたおばちゃん二人が言った。 「明日もきっといい天気にな…

ドーパミン

日常に潜む小さな幸せと 非日常に顔を出す大きな幸せ。 心地よい音楽。声。会話。文章、言葉。眠り。 美味しい食事。紅茶。ジンジャーエール。少しのお酒。 臨時収入。入浴。 旅行。誰かと猛烈に通じ合う時。愛を得ること。 大きいから素晴らしいということ…

眉間

眉間 男は下手な誘いで女を誘う。女は下手な誘いと知りながらそれに乗ることにしていた。 男と女は焼き鳥屋に入った。二人が時折、通っている店だった。 その日は、ビールが飲みたい喉だった。 その日に限って、店内はとても賑わっていた。 「みんな、ビール…

サナギ

蝶になるために幼虫はたくさんの養分を体にしっかりと蓄える。 そして、サナギとなる。 サナギは表皮1枚で一旦ドロドロになり、蝶になるための再形成を行う。 サナギは硬くなったまま、羽化の時を待っているものだと思っていた。 外からは見て分からない、…

真夜中

誰かの寂しさの隙に潜り込むより、 己の寂しさを抱いてあやせる私でありたい。

スイミング

お仕事で、子どもたちがスイミングスクールに参加するのに付き添う。 プールサイドで高温多湿で朦朧となりながら、子ども達が泳ぐのを見る。 プールが好きな子もいれば、苦手な子もいる。 水の中なのにへらへらと笑ったり、猛者は水の中なのにしゃべったりし…

東京

久しぶりの新幹線。 久しぶりの東京。 もう新幹線を降りても、私を待つ人はなく。 繋ぐ手のない東京はこんなにも頼りない。

波乱の予感を柔らかく抱きながら、また春が来た。

機微

会いたい人に会いに行く。 見たいものを見る。 聴きたい歌を聴く。 小さな動機で行動できる自分でありたいと思う。 私の機微を私が逃さないように。 実際に動くことで得ることの底力を知っているから。 あの時動けなかった自分を叱りたいから。 私は動くで。…

不時着

19時半。 ふと目線を空に向けると火の玉のように尾を引いて流れる星を見た。 目を疑うとはこのこと。 満月すらまんまるに見えないのに。 とんでもないものを見てしまった。 「あ!得した!!」 と思えたので、私はまだ大丈夫。 あれが流れ星じゃなかったら…

炎上

長い間くすぶっていた小さな小さな火種に、少しの油と、少しの空気を注いだだけで、みるみるうちに燃え広がり、女の戦いの火蓋が落とされた。 火をつけたのは私です。 油を注いで、空気を送って、燃えゆく様子をしかとこの目に焼き付けていました。 悪びれる…

ポケット

秋の深まりに 時の流れに 置いていかれているような 追い回されているような そんな気がしているのに ぐわんぐわん季節が巡っている。 秋の道を行く ポケットには缶コーヒー。

私はあなただけを見つめる

向日葵の花言葉。 生長が盛んな若いころは太陽の動きに合わせて花の向きを変えるから向日葵。 でも、花が開ききると東向きで止まる。 しなやかに柔くあろう。

おやすみ

つい、「ここに愛はありますか?」と尋ねてしまった。 もうこれ以上、自身や彼を誤魔化して継続することに意味を感じられなかった。 夕暮れや年の瀬が苦手な、何かを終わらせるのがとても苦手な彼に別れを決めさせた。 それは私の優しさでもあり、私のエゴそ…

ふたりの行く先が黄金色に彩られるようで銀杏並木を歩くのはとてもいい気分。

環天頂アーク

うまくいかんことも多いけど、 虹を見て、 なんか得したなと思える間は、 まだまだ大丈夫だと思う。

月がきれい

I love you. を 「月がきれいですね」と訳したのは夏目漱石。 「私、死んでもいいわ」と訳したのは二葉亭四迷。 「もうあとには戻れないな」と訳したのは東京スカパラダイスオーケストラ谷中敦。 今宵、中秋の名月。 「月がきれいですね」 ふふふ。 私、満月…