車窓
大学に通っていた頃、私は電車通学をしていた。
ある日、夕暮れがとても美しく、車窓から西の空をうっとりと眺めていた。
「ああ、世界の終わりのような夕暮れだなあ」
思った矢先、四人席に座っていたおばちゃん二人が言った。
「明日もきっといい天気になるわね」
はっとした。
私はこの世の終わりを思い、彼女らは明日を思う。
この違いは何なのだ。
私の抱くこの終わりに向かう気持ちはどうなっているのだ。
きっと、彼女らの方が多数派で、正しい。
きっと、私の方が歪んでいる。
でも、どちらも間違ってはいない。
私は歪んだこの終わりに向かう気持ちを抱いて生きていくのだろう。
そんな歪んだ決心を思い起こさせた今日の夕暮れ。