彼女は装い方が殊の外、すごい。

くしゃみの仕方ひとつ、

食後の感想ひとつで、

いやになる程、装う。

 

その装いが板に着き、

まるで装っていないかのように振る舞うが、

その振る舞いが周りを遠ざける。

 

誰からも嫌われたくない

という祈りが痛いほど溢れている。

 

彼女は生まれて30数年、誰とも寝ていない。

誰かに抱かれる快楽を、

誰かに抱かれる物哀しさを知らない。