浮
期待してはいけない関係なのに
つい浮かれて
「またね」と言ってしまった
「また」なんて
私が決めることじゃないのに
別れ際に不意に
「またね」なんて言ったのだ
街はクリスマスで溢れていて
イルミネーションが輝いていて
人々が幸せそうに歩いていて
私はその中で
ついうっかり手を振って
「またね」なんて言ったのだ
その後
私の連絡は未読
彼からは一度も連絡は来ない
私が「またね」なんて言ったばっかりに
私が「またね」なんて言ったばっかりに
諭
母に諭される。
「私も誰かを好きになるのが苦手」
私は言う。
「私は私のことを好きじゃない人が好き」
母は呟く。
「似なくてもいいところばかり似るのね」
私にとって母は大きい。
支
親友に恋人ができた
幸せになって欲しいなと思うのと共に
また私は置いていかれるのかなと寂しくなる
でも彼女には支えてくれる人が必要なのだ
私は?
あれ、私は、必要でないってことかしら
注
私のことなんて好きじゃない
彼には恋人がいて
恋人とはSEXをしないから
外注作業をしただけで
私とはSEXだけの関係なのだ
多くを望んではいけない
手を繋ぎたいとか
キスから始めたいとか
名前を呼んでほしいとか
撫でられたいとか
恋人の話を聞きたくないとか
LINEに返信してほしいとか
望むだけ虚しいから
私は子種がほしいだけ
呪
普通の人にしときよ
結婚となると普通の人がいいで
ちゃんと働いてて
子育てにも協力的で
面白くなくてもいいやん
普通の人にしときよ
え?これ、呪い??
あなたと私の価値観が異なるように
あなたと私の幸せが異なる
結婚して10年経ったあなたと
独り身で踠き続けてる私では
同じ価値観が持てるわけがない
私だって知らないんじゃない
女が結婚して
家族を作り守ることが
一般的な幸せの形だということくらい
重々分かった上で
それでも
私のことを愛する
私じゃないとだめな相手を探しているだけ
それがとんでもないクズでも
宝くじが当たるよりも
現実味がなくても
私は今それを追いたい
拝
顔を見ても
名前を聞いても
私のことが誰だか分からない
「ありがとう」「ごめん」
と私を拝む
おばあちゃん
私があなた似の初孫です