求められていたキャラクターと

実在の私が異なることは

誰よりも私が知っている

 

インターネッツのおかげで知り合い

インターネッツのせいで失うことは

割とありふれたことで

だからそれで傷つかないかと言われれば

そんなこともなく

 

私は傷つかない人間にはなりたくない

 

興味を持続させられる女でありたい

 

ぼんやり思う秋の夜

見知らぬ土地において

カーナビゲーションシステムを

全身全霊で信用してはいけない

 

妙に最短距離を選択して

夜に山道を走ることになるぞ

 

私は昨夜、旅先でやられた

雨降る知らない山の中

後ろから煌々と照らされ煽られながら

 

何度叫んだことだろう

「山越えやーん!」

「なんでこの道選んだー!」

 

そして最終的に

私はちょっと泣いて大いに笑った

 

私は壊れているのかもしれない

ここは暗くて涼しい洞窟の中

すれ違う人もおらず

鍾乳石から水の滴る音がする

 

己の足音響き渡りて

私の歩みはどこへ向かうか

 

誰とも分かち得ないこの歩みはどこへ向かうか

 

ふと手元の電話に目をやるも

圏外と表示

 

ここは孤独の洞窟の中

数百年の時を経た

ここは孤独の洞窟の中

 

 

 

 

 

 

 

山口県秋芳洞にて

景色が変わっていくのが好きだ。

 

突然大きな工場が現れたり、

風力発電機が見えたり、

海沿いを走ったり、

撮りたいと思う景色を撮るのが好きだ。

 

小さな画角におさまるはずのない景色を

何とかおさめようとして

おさまるわけのないことにまた気づく。

 

そして、もう私の目で見るしかないのだというところまで何らかの何かに追い込まれる。

 

私の見ている景色は私にしか見えていない。

 

こんなに虚しいことがあるのだね。