置
私は箸置きマニアだ。
そして、陶器に目がない。
ある時、ひょんなことから箸置きを知人にプレゼントすることになった。
プレゼントを贈ることは好きだ。
相手が自分では選びそうに無い、でも相手好みを考慮しつつ私にしか贈れない絶妙なラインの物を選ぶ。
相手のことを考え、自分のセンスと練り合わせる。
というわけで、作家市を見に行った時に、吟味し、大変わたし好みなものを購入した。
馴染みの作家の作った可笑しい制作エピソードを踏まえ、選んだ。
箸置き界においてのそこそこの斬新さと贈り物としてのセンスとバランスを持ち合わせていたと思う。
だが、今回は贈る相手が強者過ぎた。
私は、本当にこの箸置きで良いのか。
この箸置きをあの猛者に渡せるのか、あの猛者がこれを気に入るのかと決めかねて、もう一組、普段使いに最適な美しい飴色の箸置きを選んだ。
本来、箸置きなんてひとつあれば良い。
贈り物をもらう側にとっては選択しきれなかった二品は不要だ。
あろうことか、私はその二品を猛者に渡すことにした。
やれやれ。
猛者の本心は計り知れないが、私は今回決めたことがある。
贈り物選びにおいて、置きにいってはならない、箸置きだけに。お後がよろしいようで、オホホホホ